役割。
ものにはものの、ひとにはひとの、各々役割がある。
今日、ハンカチにアイロンをかけようとして、アイロンのコードを引っ張ったら、アイロンはコードを出す事を拒否した。
アイロンは主に電気を栄養とし、熱へと変換し蓄え、布製品のしわをとる事が仕事で、それ以外では価値を成さない。
その行為を拒否しているとも取れるこのアイロンの態度に私は憤慨した。
本来のアイロンとしての価値を成さないアイロンなんてただの鉄屑も同様、廃棄しますよ?とアイロンに向かって問いかけた。
そして、無理矢理コードを引っ張り出す作戦に出た。
『押してダメなら引いてみる』
私は
『押しながら引いた』
しかもめいいっぱい。足で抑えながら。
このやり方は本来間違いだと思う。
しかし今回は正解だった。
アレだけ出る事を拒否していたコードがあるときを境にスルスルと出てきた。
無事コンセントを刺す。
『アイロンはアイロンとしてしか生きられないのだよ、アイロンとして生涯全うしろ』
と問いかけた。
人はどうだろうか。人はものと違い、音を奏でる事も出来れば、物を作る事も出来、人を楽しませる事も出来る。様々な可能性を持っている。また、存在自体が誰かにとって糧になっている場合もある。皆自分の得意とする分野を全うすれば良いと思う。
私はどうだろうか。
それを考えると夜も眠れない。